2016年10月8日土曜日

盲目的に信じられなくなった

ISの過激思想に憧れる10歳代の少女がフランスで後を絶たないと新聞が報じています。現代は信じられるものがないから、余計若い層に原理主義的な価値観に染まりやすいのだと言われます。残念ながら軍国主義的教育の中で優等生を目指した私は、国民学校4年生(9歳11か月)で終戦を迎え、信じていた価値観が一気に崩れ去る経験をしました。

 抽象的な理念の崩壊より、それをかざして小学生の私たちを教えた教師が、終戦後見事に転向しているのを見て、人にも理念にも信じる気がなくなりました。戦時中は、態度が悪い生徒を皆の前で殴って鼻血を出させていた若い男性教師が、私が戦後に疎開先から元の学校に戻ってみると民主主義をまじめに教えていたのには興ざめました。

 軍国主義的な考えはもうたくさん。戦後の混乱期に間もなくソ連軍がやってきてお前らは粛清されるぞと怒鳴った何とか思想もイヤ。さりとて民主主義を信じる気にもならないというのが、正直な気持ちでした。人を信じるのも簡単にそういう気にもなりませんでした。それを若い新人の先生が無邪気に楽しく接してくれてその気分を一掃してくれました。

 長じるに及んで弟妹を教えてくれているあの拳骨をふるった先生が、悪い人でないとわかり、複雑な思いの中で人間や思想への信頼を少しずつ取り戻し、現在は8~9割信じても、1~2割はそうでないこともありうるという妙な信じ方が身についてしまいました。盲目的傾倒をどこかで避ける自分を8~9割肯定しつつ嫌な奴だとも思っているのです。

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